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  • 執筆者の写真Ngoc

働き方改革の鍵は成果報酬の仕組み

更新日:2020年5月12日

日本企業は業務改善しようとしていない

開発受託の仕事をして事業会社のシステム部門に提案に行った時

「うちの今の仕事は不合理なことが多い、無駄が多いのはわかっている。君たちに依頼すれば安くなるのもわかっている。ただそれをやると俺らの仕事がなくなって俺らがクビになってしまうから困る」

と部長さんに言われてびっくりしたのは、10年以上前のことでした。

あれから同様のことをいろんな会社の部長さんから何回も言われ、びっくりしなくなった。


そうか、日本の大企業の中の人は、あえて最適化しないのか。あえて仕事の効率を下げておくのか。

だって彼らの給料は、短期的に見れば当日、当月の勤務時間。勤務時間が多いほど給料が多くもらえる。わざわざ勤務時間を短縮して自分の給料を下げるバカがいない。

そして長期的に見れば給料が勤務年数で上がっていく。ただ長く生きていれば給料が上がる。その間に力を振り絞って仕事の効率を上げても、ただ仕事がまた降ってきて自分が大変になるだけで、給料が多くならない。だったら賢い人は無駄な努力をしないのだ。


私がこの日本の常識(!)を理解するまで何年かかったのだろう。

でもだからか、日本の「働き方改革」の各種報道を見て、こりゃ失敗に決まっている、と真っ先に思いました。

だって、みんなが言っている「改革」がだいたい、強制的に勤務時間を短縮するというものばかりだった。

それだけなら給料が減ってみんなが悲しくなるだけでなんの嬉しさもない。

本来なら、「働き方」の中身を良くして、仕事の効率を上げて、その結果作業時間が短縮されても同じ仕事の量をこなしているので給料が減らず、でも時間が余ったからそれを勉強や家族やリクリエーション等に当てて、それでかえってさらに仕事の効率が上がるという善循環を作るべきところ。

ただ「毎週水曜日はみんな定時に帰ろう」と言うだけでは循環は作れない。


業務改善するモチベーションが生まれない仕組み

日本の大企業の会社員は長年、毎日頑張っているモチベーションは「安定的に毎月給料がもらえる」「年々給料が上がっている」「老後まで安心」というあたりだろうか。

この目標自体は何も悪くない。誰だって私だって毎月安定した給料が欲しいし、年々上がって欲しいと思う。


ただ、この目標のために何をどう頑張るかというところで、

「良い会社、良い仕事を継続するためには、私は毎日自分の仕事の効率・品質を改善し、余った時間は勉強し、技術スキルもマネジメントスキルもアップしておきなら、語学でも勉強しておけば、昇進昇給のチャンスにもつながる」

という考えと、

「今の上司は嫌な感じだけど、来年はまた変わるので今年は辛抱よく耐えていよう」

という考えでは

結果が全然違うのは当然ではないでしょうか。


現実問題、大手外資系の給料は国内企業の給料より高いことが有名でしょう。

高い給料が払えることはつまり、企業としての社員あたりの売上・利益が高いことに他ならない。個人レベルも組織レベルも最適化して仕事の効率を高く出していることに他ならない。


最適化のキーポイントは「そもそも最適化したいかどうか」に尽きる。


人間はみんな賢い。最小の努力で最大の利益という地点をみんなが目指す。

仕事の改善活動をしても給料が上がらないどころか怒られるリスクが高い、という企業風習なら、誰も改善活動をしないのも当然である。


グローバル人材獲得に少しでも目を向けている人はみんな知っているでしょうが、世界の先進国の中では日本の給料はとても安い水準。アメリカはもちろんのこと、香港、シンガポール、韓国に負けている。当然ならが優秀な人材は高い給料のある国を目指している。日本は人材獲得競争に負けている。

そして給料が低い理由は仕事効率が低いに他ならない。


現場での改善活動、効率アップのモチベーションが欠けているからだ。

現場のモチベーションをどうやってつけるかは極めてストレートフォワード。

仕事の成果を収入に結びつけること。つまり、「成果報酬」だ。


成果報酬の仕組みは難しいものか

日本企業のかなりの割合が成果を評価するというところから戸惑っているのではないでしょうか。誰がどの程度できたか、仕事の出来が良いか悪いかを客観的に数値的に測る手法がない。仕方がないので「勤務時間」という数値に頼るしかない。

だからこのリモートワーク時代に、自宅勤務している社員がパソコンのマウスをパラレールに着けて走り回させて仕事しているフリを見せる、という動画がネットでシェアされ、笑うべきか泣くべきか。


毎日の仕事の成果を元にアサイン&評価しているば、本当は勤務時間・勤務場所を気にする必要がまったくない。社員がどこにいるか、いつ作業したかを気にする必要はない。気にするのは「与えられたタスクが終わっているかどうか」だけである。

では、仕事の成果を評価・そのベースで報酬を決めるという仕組みを作るのが本当に難しいことでしょうか?


やはり、答えは「やりたいかどうか」のことに尽きる、というところだと思います。


当然大企業ほど、一企業の仕組みを作り上げるのは簡単なことではない。

その一方、一気に完成させる必要もなく、できることから一つ一つやって行けば良いとも思います。

例えば最近話題の「OKR方式」、書籍もたくさん出ています。なんだから難しそうに聞こえるが、そのコアのマインドを理解していれば、とても手軽に始められる手法だと思います。



(ちなみにOKRを提唱したのは元インテル経営者、著書「High Output Management・人を育て、成果を最大にするマネジメント」に1983年から書かれていた。実はそんなに新くもない)



人材不足解消、外国人、女性労働者の活用の鍵にもなる

成果報酬の仕組みは呼び名そのままであるが、場所、時間を管理する必要性が薄くなり、現場の人間が真っ先に仕事の目標と成果に集中することができる。

この仕組みが根付いていれば、自然と

・外国人、外国にいる人

・時短、パートタイム、女性、シニア

という人材の活用も抵抗なくできるようになる。



実際外国人受入現場を見ると、みんなが戸惑っている大きな理由も「タスク定義ができていない」からである。

ただ「先輩の背中を見て勉強」「周りの空気を読んで動け」というところになってしまうと、結果的にその場にいて、時間と場所をずっと共有し、かつ(難しい)日本語の(言わない行間)を理解しないとできないとなると、とてのハードルが高い。

業務を分離して、中間成果を定義して、それそれの評価指標を定義して、タスクに分割して

それぞれのインプット・アウトプットを定義できていれば、「空気」を介したコミュニケーションも不要になるし、タスク評価も成果報酬も自然とできるようなる。


それに、個人それぞれが、自分が何を向かって頑張れたどのように評価されてどのように収入が上がるかをはっきり見えていれば、頑張るモチベーションも上がる。


善循環はここからスタートするでしょう。

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